1.サボテン
いったい何を守っているの
僕はきみに触れたいよ
2.いやらしい気分
アドレナリンか
ドーパミンか
エンドルフィンか知らないが
この気分はなんなんだ
3.詩を書くには
目の奥にぐっと力を込めて
言葉が来るのを待つんだよ
4.ふうりん
空がしんこきゅうすると
りんりんりん
ふうりんりん
涼しさりんりん
勇気もりんりん
5.鼓舞する
どんどこどんどこどんどんどん
がんばれがんばれどんどんどん
つうつくつうつくつうつくつう
おどれやおどれやつうつくつう
どんちゃか負けるなどんっちゃかちゃん
かかってこいやあブレイキン
6.コスモス
ここにもコスモス咲いている
そこにもコスモスゆれている
あそこにコスモス歌ってる
どこかでコスモス眠ってる
宇宙の中の
地球のここの
僕らの前で
たくさんのコスモス笑ってる
7.湊
川がさよならするところ
海がこんちはするところ
魚も船もそこにいます
8.兎に角
一生懸命かどうかはわからないけれど
兎に角生きている
兎に角ってなんだかわからないけれど
生きている
9.皮肉
骨はない
10.耳の検査
フェイドイン
デクレッシェンド
フィーネ
11.いじやぐ
ああいじゅやげる
そんなにいじやぐなよ
このごろいじやげるごどばっかりなんだよなあ
んでも いじやいでんじゃねえど
12.だんわら
だんだんだんだん
だんごむし
まあるくまるまる
ダンゴムシ
だんだんころがり
どこへ行く
わらわらわらわら
わらじむし
まあるくならない
わらじむし
わらってわらって
13.六月
クチナシの花が咲きました
だまって咲きました
雲が見ています
14.五月
シャクヤクが咲くぞ
僕の大好きなシャクヤクが咲くぞ
つぼみがまあるくふくらんでいるぞ
シャクヤクが咲くぞ
僕が待っていたシャクヤクが咲くぞ
誰も知らなくてもシャクヤクが咲くぞ
僕と出会うためにシャクヤクが咲くぞ
15.しかくしょうがい
さんかくではないよ
しかくだよ
たてかけるよこだよ
底辺かける高さ割る2じゃないよ
かんたんでしょ
16.年齢
歳を取ると
いろいろなものが見えてくる
歳を取ると
いろいろなことが聞こえて来る
そんなはずないでしょ
目も耳も悪くなっていくんだから
歳を取ると
忘れたいことを思いだす
忘れたくないことを忘れていく
そんなもんだよね
17.上を見る
何も見えないのに上を見る
上に何があるのだろう
上を見上げればいいことがあるのだろうか
青い空も見えないのに上を見る
白い雲も見えないのに上を見る
光る星も見えないのに上を見る
何も見えないのに上を見る
18.雨の子守歌
とろろん
とろろん
とろろんろん
おやすみなさいすやすやと
あしたの朝は明るいよ
とろろん
とろろん
とろろんろん
おやすみなさいぐうぐうと
きょうも元気でよかったね
19.書く
誰に向けて書いているのか
誰に向けて書いていくのか
書きたいから書いているのか
書かなくてはいられないから書いているのか
星に向かって書いているのだ
空に向かって書いているのだ
天に向かって書いているのだ
20.コノハズク
未来はないのかしら
21.髪の色
若い女の人二人が
髪を染める話をしている
いいなあ
どんな色に染めるんだろう
どんなふうになるんだろう
どんな顔になるんだろう
© 2025 小泉周二